先日、友人の初心者プレイヤーを対象にRoll20のオンセでDMを務めた。

それに先立っていつもの卓メンにテストプレイをしてもらい、経験者目線からのレビューをしてもらった。さすがにテストなしで自作シナリオを初心者相手にぶつけるのは特にゲームバランスの面で不安だったのでね。

つまり、短期間で2回同じシナリオを回したわけだけど、それぞれでプレイングにかなりの差があって面白かったのでそれを書いてみることにした。

セッションの概要

シナリオの概要

資産家の一人娘が失踪したのでその捜索をするというお話。依頼者の屋敷内を探索し、数回の戦闘を経て連れ戻し、報酬を得るという流れ。

シナリオ自体モチーフはあるが、D&Dのセッション内容としては自分で作成して調整したものになる。

レギュレーション

主要なところは以下の通り

  • VTTはRoll20
  • 対象ルールブックはPHBのみ(一部情報提供はあり)
  • 4人PT
  • LV3スタートのポイントバイ、HP最大成長
  • 初期装備はPHBの通常装備なら任意のものをピックアップしてよい
  • 特技1つプレゼント
  • DMはダメージロールは固定値採用(Cri時はダイスを倍にしたときの期待値)
  • 敵の情報開示は以下の通り
    • HP、名前は強制開示
    • ACは攻撃ロールを用いた攻撃がヒットした時点で開示
    • その他の特徴はDC15+CRの技能判定に成功した場合にすべて開示
      • 技能は敵の種別によって適宜変更
      • 判定はアクションの消費がなく、エンカウントしたら任意のタイミングで可能
  • インスピレーションの代わりにヒーローポイントを採用
    • 独自ルールとしてHP0の時に自分のターンでロールして出目だけHP回復できる

プレイヤー

初心者は自分が作ったキャラをそれぞれ担当するため、1人1キャラの通常プレイ。

経験者はテストプレイが目的なので2人で4キャラを担当してもらう。ビルドにわずかな差異はあるが、基本的なクラス・種族などの構成は初心者の作成したキャラに合わせてある。なお、経験者はプレイ当日にキャラシートを確認してプレイ開始である。

  • 初心者(本番でのメインプレイヤー)
    • 4名
    • D&Dの経験が2回目
      • 他のTRPG経験なし
      • オンセのみ経験
  • 経験者(いつもの卓メン=テストプレイ担当)
    • 2名
    • D&Dは5eが6年程度
      • セッション経験数は概算でそれぞれ150回程度と400回程度のプレイヤー
      • 全クラス一通りのプレイ経験あり
    • 他のTRPG経験もあり
      • 経験年数で言うと15年くらい?

PT構成

クレリックが2名という偏りがあるが、前衛・後衛はそれぞれ2名ずつなのでそれなりにバランスはとれている。

弱点としてはスロット依存が全体的に高いため、大休憩までに疲弊すると詰みかねないのと、セーヴがWIS・CHAしかもっていないのでDEXやCONきたらどうすんだろってところ。まぁブレスで多少はごまかせるだろうけど。

クラス ビルド 備考
ウォーロック 契約はフィーンド。後衛でエルドリッチブラスト主体 契約の恩恵は書を選択
パラディン 復讐の誓い。両手武器ビルドで大業物+グレソ
クレリック 生命+重装鎧+ドワーフの習熟によりバトルアックスで殴る プレイヤーはクレリック2回目
クレリック 光+元素の達人:火。後衛の立ち回り

プレイの差異

捜索対象の特徴に関する質問

初心者はストレートに娘は人間であるという前提のもと、年齢や容姿などの特徴を聞き出して捜索に乗り出していた。ふつうだね。

他方、経験者はまず娘の種族やそもそも生き物なのか、といったところからスタートしていた。アーティファクトのことを娘と信じている狂人だったり、人外を娘と称して飼いならしている異常者の可能性を考慮したらしい。あとは捜索中に種族特徴などを明らかにしておかないと、もしモンスター種族系だった場合はうっかり捜索対象を処してしまうことをおそれたというのもあるらしい。

探索中の行動

初心者は目的に沿って娘を捜索するための探索に注力していた。なので、経験者に比べると余計な時間がかかっておらず、スムーズに進んでいた。プレイングによって手掛かりを見過ごしたところはなかったが、出目が悪くて見つけられなかった情報は何点か存在した。こればっかりは運がないのでどうにもならない。

経験者はとりあえずマップ移動する都度接収できるものがないかと捜索し始めるし、人がいれば隙あらばスリできないかと企んだり横道にそれることが多く、余計な時間がかかっていた。また質問時などもとりあえずダメもとで振るなどのこれまた余計な行動が多いため、そこでも時間がかかる。ただ、さすがにしつこく無理難題を強要してくるとかいうことはなかった。

敵情報に対する意識

初心者は習熟のかみ合わなさと出目の悪さもあったが、あまり敵情報を抜くことに固執していなかった。ヒーローポイントはどちらかといえば蘇生時に取っておくなど、保守的なプレイングに徹したようだ。実際、初心者向けに鬼カスタマイズしたモンスターを出すことはないわけだから、問題はないと思う。

経験者はレベル帯からだいたいのCRの見当をつけていただろうけど、やはりモンスターがカスタマイズされている恐れがあることを見越して判定失敗時にヒーローポイントを使うことを躊躇していなかった。特に何らかの呪文が追加で使えるようになっているとか、耐性が追加されて折角切ったリソースが無駄になることを危惧していたようだ。このあたりは強敵とやりあってきた経験がそうさせてるなぁと思う。まぁ、自分も呪文使いを見つけたら1ラウンド目にどうやってそいつらを退場させるかを考えるので、同じことをしていただろう。

戦闘

初心者は出目が全体的に死んでいたのはさておき、初挑戦のクラスが多く、なおかつ全員呪文職だったので、自キャラのスペックを完全に把握できておらず、長考が度々発生していた。このあたりはセッション数を重ねるだけじゃなく、クラスに対する一通りの知見を持っているとか、自キャラ以外の性能を把握して行動を最適化していく能力がないと厳しい。どのみち一朝一夕でできることではないだろう。

経験者は戦闘での長考やDMに対する質問が全くないため、雑魚もボスも詰まることなくササっと処理してしまった。

セッションに要した時間

プレイヤー 時間 備考
初心者 4時間30分 Roll20チュートリアル30分、休憩合計20分含む
経験者 2時間30分 Roll20チュートリアル20分含む

各セクションを正確に時間計測しているわけではないが、大きく差がついたとしたらやはり戦闘だろうね。最初のうちは長考や確認の質問が多くなるのでどうしても長くなってしまう。

DMとしては全体で4時間以内に収めたかったが、結構足が出てしまった。チュートリアルがなかったとしてもギリギリだったので、もう少しうまいことヒントを出したりしてプレイヤーを補助できたかもしれない。


まとめ

プレイヤーが変わると重要視していることが変わるので、それが行動の差として如実に出るのがとても面白かった。

初心者プレイヤーもD&Dの経験値がないだけでゲーム自体はとてもうまい人たちなので、結構核心を突く質問やプレイングが見受けられた。おそらくこのキャンペーンを通じてD&Dにもすぐ慣れるだろうから、最終話あたりでは経験者がやるようなムーブをしてきそうでこわいw

ひとまず先日のセッションは面白いと言ってもらえたので、残りのキャンペーン全体も面白かったと言ってもらえる内容を目指してがんばる。